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映画版「博士が愛した数式」



原作が映画化するにあたってとても綺麗にブラッシュアップされている気がしました。
でも、嫌いなやり方ではなく、むしろ美しさがたくさん心の中に残っている気がします。
アレンジの仕方もとても好き。

続きは念のために畳みます


何と言ってもルートの授業がいい。
原作の中で博士が語った台詞がそのまま彼のものになっているものも多いけれど、これは繰り返し博士が穏やかにルートに語って聞かせているうちにルートの中に本物として根付いた言葉だと想像してしまいます。
友愛数、素数、完全数。
現在の黒板と過去の黒板に書かれていく数字の流れの美しさ。
それを見ているうちに何度か涙ぐんでしまいました。

そっか、江夏の野球カードに関するエピソードはなくなってしまったのか、とちょっと残念ですがラストシーンの博士の背中に見える背番号を演出につながるなら納得。
海辺のあのシーン、つまり博士は原作とは異なり施設に入ってはいないということなのでしょうか。
博士、ルート、義姉、そして深津さん演じる家政婦さん。その後も4人であるがまま、時に身を寄せ合って生きているのなら、それはとても美しい場面だと思います。

原作では博士の「80分」は壊れてしまいますが、それに気がついたときの切なさは何と言ったらよいかわからないものでした。
永遠に記憶の中に残る義姉と毎回が初対面のルート親子。その対比は物語の最初から変わらないのですが、でも80分が短くなるということは何だか博士がいよいよ過去に閉じ込められてしまう気がしたのです。
でも、今は、博士がもしもその方が生きやすいなら・・・とも思います。うまく言えないのですが。

原作よりも映画では義姉と博士の関係が少し濃く、悲しく描かれていましたね。
ここは好き嫌い別れるところですね。
わたしは朝丘ルリ子さんというキャスティングなら映画的な解釈もありだと思いました。今なお美しく、若い頃はどれほどに・・・と思わせるあの雰囲気。線の細さと感情豊かな瞳。
健康的な美しさ溢れる深津さんと好対照。
どちらも悲しさを内に秘めて。



原作のリンクも貼っておきます。
作者の小川洋子さんの言葉たち、とても好きです。
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by hanipyon  at 14:25 |  旅の入り口 |  comment (1)  |  trackback (0)  |  page top ↑
Comments

No title

吉岡秀隆さんのファンなので、それをきっかけにこの映画を観ました。
吉岡さんが、ちょうど「Dr.コトー役」で「純くんのイメージから心穏やかな青年」に
変わった頃の配役で、すごく暖かく心に響くルートでした。

私は原作を読む前に観たので、施設に入っているという印象を全く持ちませんでした。
あのおうちの離れに、義姉さんとずっと住んでいるのかと最後まで思ってました。

素敵な映画ですよね。
by Cupertino 2008/09/27 17:12  URL [ 編集 ]
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