2006/11/03
『最後の注文』(新潮クレスト・ブックス)
今回は、「おすすめ!」とか「大好き!」というのとは少々異なるエントリーです
「おれが死んだら、マーゲイトの海にまいてくれ」
帯に書かれているように、亡き友の願いをかなえるために4人の男が海へと向かう・・・というこのお話
男達がぽつぽつと集まる場面からはじまり、旅立った後は進む道中の中で次第に各自の心の中に浮かぶ友の姿と過去から積み上げてきた小さな物事、係わり合いや人生の諸々が読者の目に見えてきます
無駄のない描写の中から酒場の匂いや汗の匂いまで感じてしまい、実はこれは苦手かな・・・と最初に思ったのですが、結局のんびりと読み続けて最後までいきました
どうやら最近リアルで人間臭い感じのお話は苦手になってきたようです
きっと年のせいですね(笑)
短い各章それぞれが4人のうちの1人+亡くなった男の夫人の語りとして綴られていきます
時々章のタイトルが地名になるのですが、これは地図を傍らにおいて読むと面白そうだな感じました
出会いと友情のきっかけ
互いの結婚生活と子育ての中で絡み合う小さな運命
長い年月の中に紛れ込んでいる小さな秘密
言動の水面下にある現実的で生々しい感情
誇張せずに描かれる人間心理にうまさを感じました
再読はしないかもしれないし、この作者によるもう1冊翻訳されている作品『ウォーターランド』には手を伸ばさないかもしれない・・・・・けれど、もしかしたら、1年後ぐらいに本屋で見かけたらまたふらりと・・・・・
そんな感じの読後感でした
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